巻き込んでしまった真奈ちゃんに会い、激怒されたのだって覚えている。


そしてその日の内に今度は誰も巻き込まないよう1人で自殺したんだ。


浴室にはった熱いお湯も、手首を切った時の感覚もちゃんと残っている。


左手首を確認してみると傷は少しも残っていなかった。


「嘘だろ、なんで……?」


得体の知れない冷や汗が背中に流れて行って寒気を感じた。


もしかして今までのすべてが夢だったとか?


そんなことあるハズない!


ここまでリアルで、絶望的な夢が繰り返されるなんてこと!


呼吸が荒くなるのを感じながらスマホを確認すると、真奈ちゃんの番号が登録されていない事に気が付いた。


「真奈ちゃんと番号交換したのは今日だからだ……!」


今日はまだ始まったばかりで真奈ちゃんとも出会っていないことになっているのだ。


ということは、僕は今1人きりでこの世界にいることになる。