『サンタさんまた来てね!』


プレゼントを置いて出ていくサンタへ向けて精いっぱい手を振ったあの時。


僕は本当に愛されていたし、幸せだったんだ。


思い出して行くうちに痛みは和らぎ、汗が引いていた。


手のひらにジットリと浮かんできた汗を拭くでぬぐい、そっとベッドから起き上がる、


まだ腹部に違和感が残っている。


痛んだ腹部に手を添えたままゆっくりと部屋を出て階段を下りていく。


父親は会社で母親は出かけてまだ帰って来ていない。


家には僕1人だ。


そして今日は7月1日。


魔の7月8日じゃない。


イジメられて、余命宣告を受けた最低な1日を経験する前にすべてを終わらせてもいいじゃないかと思えた。


生きていてもどうせ後一か月の命だ。


2度も絶望を味わうのはまっぴらだった。