僕にも真奈ちゃんにも時間がないことをわかってくれているからだ。


「本当に飛んでる!」


リアルタイムで配信されている映像に真奈ちゃんは嬉しそうに声を上げた。


頬はピンク色に染まり、出会ったころの元気さを思い出す。


だけど僕たちはわかっていた。


真奈ちゃんの命がもう少しで尽きる事。


自分の命もどんどん少なくなってきていること。


「すごい、綺麗……」


真奈ちゃんがうっとりと目を細める。


僕はその頬にキスをした。


桜色の頬はそのくらい魅力的で、ひきつけられた。


真奈ちゃんは少し驚いた顔をこちらへ向けてそしてほほ笑んだ。


僕たちの距離は今までにないくらいに近づいて、そしてキスをした。


初めてのキス。


好きな人との幸せの瞬間。


そして……真奈ちゃんはその翌日、息を引き取った。