隣の真奈ちゃんが手にしている本をチラリと確認してみると、なんとそれは料理本だった。


僕は驚いて「料理好きなの?」と、質問していた。


真奈ちゃんは本から顔をあげて「一応趣味だけど」と、答えた。


意外だった。


真奈ちゃんにそんな家庭的な趣味があるなんて考えたこともなかった。


だけど思い返してみれば僕は真奈ちゃんのことをどれだけ知っているだろうか。


僕は自分の心残りを解消するために真奈ちゃんに色々と話して来たと思う。


けれど、真奈ちゃんは自分のことを僕に話す必要なんてなかったんだ。


そう思うとなんだか不公平な気分になって来てしまう。


自分の汚点ばかりをさらけ出して、真奈ちゃんのことは知らないなんて。


死ぬまでに少しでも真奈ちゃんのことを知りたい。


そう思ってまた視線を真奈ちゃんへ向ける。