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病院内は相変わらず陰気くさくて嫌いだった。


ここに来るとどうしても死を間近に感じてしまって、気分が落ち込んでくるのだ。


僕は点滴の袋を見上げながら重たいため息を吐きだした。


この点滴のお蔭で痛みは随分と楽になってきたけれど、今日は安静にしておくように言われてしまった。


入院も進められたけれども、それは頑なに断ったのだ。


ベッドの上にいる限り、やりたいことリストを消費することはできない。


残り短い人生だからこそ、入院なんてしていられなかった。


「大丈夫?」


白いカーテンを開けて母親が声をかけてきた。


その顔色は悪くて、それは紛れもなく僕のせいだと痛感させられる。


胸の痛みを押し殺して僕は笑顔を浮かべた。


「大丈夫だよ。先生は少し大げさなんだ。点滴なんてしちゃってさ」


明るい声で言うと、母親は更に苦痛に耐えるような表情になった。