「今来たばかりなのに?」


それはそうなのだけれど、体調が悪そうな真奈ちゃんを引っ張っていくわけにはいかない。


それでも早く魚たちを見たがっている真奈ちゃんに「のどが渇いたから5分だけ」と伝えて無理矢理カフェに向かった。


カッフェの中はお土産物屋で購入できる置物やぬいぐるみが並んでいて、真奈ちゃんは可愛いラッコのぬいぐるみに目を奪われていた。


座って少し休憩すると真奈ちゃんの顔色も良くなってきて、ホッと胸をなで下ろす。


なんだか昨日から僕よりも真奈かちゃんの方が重病人みたいに見えるのは僕の気のせいだろうか?


きっと、病人である僕が元気すぎるから、そんな風に感じられるのだろう。


「あのラッコは絶対に観に行かないと」


真奈ちゃんはクリームソーダに口をつけながら真剣な表情でそう言ったのだった。