「ごめん、今日も約束があるんだ」


朝から私服に着替えていそいそと出かける準備をする僕を見て、母親が心配そうな顔を向けて来た。


「約束があるのはいいけれど、体は大丈夫なの?」


「うん。無理はしないよ」


無理はしない。


それだけを条件として学校を休ませてもらっているのだ。


最も、今はクラスメートも先生も僕の余命を知っているようで、学校に行きづらくて仕方がないのだけれど。


みんな、こんな元気に遊び回っている僕を見ると驚くだろうな。


その光景を想像して少し笑う。


幸いにも余命宣告された後の僕の体調はすこぶる良かった。


食べる者は制限しているけれど、食べても別に問題はない。


胃が痛むことも少なくなったのは長年の悩みをすべて解決してしまったからなのかもしれない。