どちらもそれほど遠くないけれど、今日の真奈ちゃんの体調を見ていると近い方がいいような気がした。


「わかった。じゃあ明日は水族館」


真奈ちゃんはパンッ! とわざと音を立ててノートを閉じた。


「真奈ちゃん、学校は?」


2人でトロトロと歩いてかえりながら質問をする。


いつでも僕に会湧得てくれているから、そろそろ出席日数がやばいのではないかと思っている。


それなのに明日も遊びに付き合わせるなんて申し訳なかった。


「大丈夫大丈夫。私優等生だから」


少し前を歩いていた真奈ちゃんがクルリと振り向いて笑顔を見せる。


その笑顔が夕日に照らされて赤く染まり、とても綺麗だと感じた。


余命宣告をされればすべてが灰色に染まると思っていた。


自分の人生に絶望して、ただ死ぬのを待つばかりになると思っていた。


だけど真奈ちゃんに出会って、2人で不思議な体験をして、そうでないことを知った。


少なくても、僕の世界は今ちゃんと色づいて目の前にいる少女に胸をときめかせている。


こんなことが自分の人生の最後に待っていようとは思ってもいなかった。


「じゃあ、また明日!」


真奈ちゃんは元気よく手を振って曲がり角を曲がって行く。


僕はしばらくその場に立って真奈ちゃんの後ろ姿を見送っていたのだった。