ズボンのポケットに入れっぱなしのスマホを確認してみると、確かに真奈ちゃんからメッセージが来ていた。


ちょっとトイレに入って来る。


と、書かれている。


「お尻の肉が分厚くて振動に気がつかなかったの?」


嫌味を言われて思わずムッとしてしまうが、ここは大人の態度を見せることにした。


「それにしてもトイレの回数が追いようだけど、本当に大丈夫?」


「女の子にトイレの回数を指摘するなんて、紳士的じゃないと思うけれど?」


そう言われるとグッと言葉が喉に詰まってしまう。


なにを言っても真奈ちゃんには勝てそうにないらしい。


これ以上負けの言い合いをする気にはなれなくて、それから先は黙々とアイスを食べた。


アイスはすぐに溶けてしまうほど太陽は暑くなってきている。


この中で歩き回るのは大変そうなので、僕たちは園内を走っているバスに乗って移動することに決めた。


「バスで遊園地まで来て、バスで移動」


窓際に座った真奈ちゃんが外の景色を見ながらつぶやく。