真奈ちゃんと別れてから帰路を歩いていると、またスマホが震えた。


今日は誰かからよく連絡が来る日だなぁ。


最初余命宣告を受けた時とは大違いで、苦笑いが零れる。


スマホ画面を確認してみると、母親からの電話だった。


そういえばまだなにも伝えていなかった。


病院から戻ってこない息子を心配しているに違いない。


「もしもし?」


《直樹! いまどこにいるの!?》


途端に耳元に悲痛な声が聞こえてきて慌ててしまう。


病院へ行ってもおらず、家にもいなかったのだから当然だった。


「ごめん、今家に戻っているところだから」


説明しながら自然と早足になる。


早く自分の元気な姿を母親に見せたかった。