「あの、真奈ちゃん? これってやらないといけないことかな?」


「当たり前でしょう? 余命宣告をされた主人公の定番物語なんだから」


真奈ちゃんも地番だとわかっているみたいだ。


それを恥ずかしげもなくやっているわけだ。


僕は大きくいきを吸い込んで「よし、わかった!」と、覚悟を決めた。


やりたいことなんて書きださなくても頭の中にあるだろうに、それをいちいち書きだしていくわけだ。


そしてそれを実行したら2人して『イエーイ』とか喜んで、書いた文字に横線を引いていくんだろう。


なんて無駄なことなんだろうと思うけれど、目の前にいる真奈ちゃんが楽しそ
うなので拒否できない。


「まずは水族館でしょう? それから動物園。サーカスにも行きたいし」


真奈ちゃんはスラスラと文字を書きだして言って、ノート一ページ分があっという間に埋まってしまった。


「ちょっと、真奈ちゃん?」


さすがに突っ込まずにはいられない。