もちろん。


好転した人生を繰り返すのなら問題はない。


だけど自殺して戻るのは何一つ好転していない、元の人生だ。


戻るのはもうこりごりだった。


「そう。なにか食べる?」


真奈ちゃんにメニューを渡されて初めて自分が空腹であると気が付いた。


それでも胃がんを持っている僕は自由には食べられない。


余命宣告された後となっては余計に食べ物に気を使ってしまう。


「なにを悩んでるの?」


「いや、病気だし、あまり体に悪そうなものは食べない方がいいかと思って」


真剣に悩みながら説明すると、真奈ちゃんが盛大なため息を吐きだして僕からメニューを取りあげてしまった。


「今更なに言ってるの? 何度ループしても病院には行かなかったくせに」


そこを指摘されると痛い。


一種間早く病院へ行ったところで余命宣告は変わらないと判断したのは、僕自身だ。


「じゃあ、クレープを頼むよ」