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余命宣告を受けてから1時間が経過していた。


《時間、戻らないね》


電話の向こうで真奈ちゃんが言う。


「うん。戻るなら、もう戻っている時間だと思う」


僕は病院の広場で真奈ちゃんに伝3話をかけて、状況を報告していた。


《ということは、これからは明日が来るってことね》


「そうだね」


電話越しに頷きながらも真奈ちゃんの声が少し暗い事に気が付いた。


なにか悩みでもあるのかもしれない。


「真奈ちゃん、どうかした?」


《え?》


僕の質問に驚いた表な声が返って来る。


そんな質問をされるとは思っていなかったのだろう。


《なにもないよ。あなたの気のせい》