慌てて否定しながらも、真奈ちゃんの勘の鋭さに感心してしまう。


電話で話しているだけなのに、どうしてこうも簡単にバレてしまうんだろう。


《本当に? もしかして私に言っていない心残りがあるんじゃない?》


聞かれて違う意味でドキッと心臓が跳ねる。


真奈ちゃんはなんでもかんでも見透かしているようだ。


「いや、本当に大丈夫だから。じゃあ、今日の報告はそれだけだから、またね」


少し一方的になるけれどそのまま電話を切った。


ふーっと大きく息を吐きだしてベッドに寝そべる。


少しだけ胃の痛みを感じるけれど、今はそんなに気にならなかった。


「もし、恋愛の心残りも解消しなきゃいけなくなったらどうするんだろう?」


たった一週間で解消できるとは思えない、一番難解な心残りとなるだろう。


そして恋愛の相手は……咄嗟に真奈ちゃんの顔が脳裏に浮かぶ。


僕は慌ててそれをかき消して枕に顔をうずめたのだった。