僕はこの階段を上がって屋上へ出たんだ。


曖昧だった記憶は急激に鮮明さを取り戻し、やはりあれは現実で起こった出来事なのだと知ら絞めて来る。


胸に鈍い痛みを感じた時「ちょっと」と、後ろから声をかけられた。


人が感傷に浸っている時になんだよと振り向いてみれば、そこにはアーモンド型の目をした少女が立っていた。


身長は僕より10センチくらい小さくて白いブラウスに紺色のスカート、それに学生鞄を持っている。


「あっ!」


夢の中の少女と目の前の少女の姿が一致したとき、思わず声を上げていた。


僕が1人で少女を指さして硬直している間に、少女はムスッとした表情で僕を睨み付けている。


「昨日私を巻き込んで自殺したのはあなたね?」


少女の声は鋭く、僕の胸を一刺ししてしまうような冷たさがあった。


「あ、う、うん、たぶん」


しどろもどろになりながら頷く。


少女は大きなため息を吐きだして「それで? これはどういうこと?」と、腕組みをして聞いて来た。


「これっていうのは、えっと?」