『うん。ちょっと、あまり良くなくて』


僕はハンバーガーを口に運んだが、途中でやめてトレイに戻した。


部活をした後はお腹が減っているはずなのに、食べる気になれなかった。


『大丈夫か? なにか悩みでもあるから聞くけど?』


純平の隣に座っている隆夫が気にしてくれる。


一瞬、着飾った母親の姿が脳裏に浮かんできた。


母親が浮気して入るかもしれなくて、悩んでいる。


そんなこと、友達に相談できるわけがなかった。


自分の体調の頃に関してもそうだ。


言ってもきっと心配と迷惑をかけてしまうだけだ。


そう思った僕は2人へ向けて笑顔を浮かべた。


『大丈夫。どうにかなると思うから』


そう、答えたのだった。


その数日後、僕は退部届を出した。