しかし僕はかかずやっていたのだ。


2人はそんな僕のこと見てくれていたようだ。


3人で朝練をするようになると、僕たちの距離は更に縮まった。


1年生の頃はみんなクラスがバラバラだったけれど、休み時間の度に廊下へ出て話をするようになった。


話しの内容はもちろんサッカーのこと。


だけど時々可愛い女の子の事とか、最近好きなアイドルの話もするようになった。


そんな矢先のことだった。


純平と隆夫に別れを告げて1人家に帰っているとき、偶然母親にそっくりな人を見つけたのだ。


一瞬声をかけようかと思ったが、思いとどまった。


その人の服装が普段の母親のものとはかけ離れていたからだ。


普段はジーンズにTシャツという動きやすさ重視の服装をしている母親が、その時は薄いグリーンのワンピース姿だった。


手に持っているハンドバッグは小さくて、とても近所へ買い物へ行くような姿ではなかった。


なにか嫌な予感を覚えて僕は結局その人に声をかけずに帰宅した。


今思えばあれはデートの約束場所へ向かっていたのだと思う。