毎日トレーニングしている拳は重たくて、頭が割れそうな痛みが走る。


それでも僕は手の力を緩めなかった。


純平に反撃ができなかった。


それなら、こうして引き止めるしかないじゃないか。


「離せよお前」


隆夫が横腹を蹴って来る。


それは手加減された力だったけれど、今の僕には雷に打たれたほどの衝撃を伴った。


血を吐きそうなくらい気持ちが悪い。


目の前がグラグラと揺れているし、もしかしたら脳震盪でも起こしているのかもしれない。


このまま気絶できればきっと楽だろう。


けれどそれは許されないことだった。


それは逃げることと同じことだった。


「離さない!」


僕は純平の足にしがみ付く。