しかし僕の拳は2人には当たらない。


2度目の7月6日を経験しているときには確かに純平を殴る事ができたのに。


だから今回も当たるはずなのに。


「なんだよお前、それではんげきしてるつもりか?」


隆夫が僕のパンチを軽々とよけて、楽し気な声を上げる。


3時間目の終わりから始まった腹痛が原因なのか、体に力が入らない。


パンチのスピードも遅くて、これじゃ2人に当たらないのは当たり前だった。


そのとき純平の拳が頬にぶつかっきて、僕はその場に倒れ込んだ。


隆夫の笑い声が降り注ぐ。


「弱いんだから、やめとけよ」


純平にそう言われて僕は顔を上げた。


そこには無表情で僕を見下ろす純平が立っていた。


一緒にサッカーをしていたときは、あれほどチームワークが良かった純平。