「お前、今日の放課後校舎裏に来い」


そのセリフにまた1度目の時のことを思い出していた。


あの時はこの呼び出しを無視して帰宅して、翌日もっとヒドイ目にあったんだ。


僕は静かに純平を睨み付けていた。


純平が僕の視線に気が付いて、少しだけ目を丸くする。


僕があからさまに反抗的な態度をとったのはこれが初めてだからだろう。


最も、2度目の時には殴り返しているから、僕からすれば初めての経験ではなかったけれど。


「わかった」


口もとに微かに笑みを浮かべて答えてやると、純平は気味の悪い物でも見ているような様子ですぐに僕から離れて行った。


隆夫を連れてトイレにでも向かったのだろう。


僕はフンッと鼻を鳴らすとホコリをはらって立ち上がり、A組の教室へと入って行ったのだった。