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そして、7月6日。


母親は引っ越しの準備を進めながらも、ちゃんと僕のお弁当を作り、朝昼晩と主婦の仕事をこなしている。


「はい、お弁当」


「ありがとう」


こういう会話は最初の頃にはなかったなと、思い出す。


僕はありがとうも言わずにお弁当を受けとり、当たり前のように食べていたのだ。


そうことに気が付く事ができたのも、このループのおかげだった。


「行ってらっしゃい」


「行ってきます」


ごく自然にそう言って家を出ることができた。


足取りは軽く学校へ向かう。


しかし昇降口まで来たときにふと今日の日付が特別なものだったと思い出し
た。


下駄箱に入っている自分のシューズを恐る恐る確認してみると、マジックで落書きがされていた。