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翌日行われた家族会議では花瓶もぬいぐるみも飛び交う事はなかった。


3人でリビングのソファに座り、淡々と話が進んでいく。


家族会議の内容が内容だけに終始重苦しい空気にはなったけれど、父親と母親が感情を荒げることはなかった。


「本当にごめんなさい」


最後には泣きだし、土下座をして謝まる母親の肩を父親が優しく撫でていた。


「君とひとりにしたのは僕の責任だ。不倫は許せないけれど、僕にも悪い部分はあったんだと思う」


父親の大きな背中に不覚にも感動してしまい、泣きそうになってしまった。


家族がバラバラになる。


そのことが決定したと言うのに、僕たちの顔には笑顔が浮かんでいた。


母親は泣き笑いで「最後まで母親でいさせてね」と僕にお願いしてきた。


僕は母親の作る料理の味を思い出して「もちろん。親が離婚したって僕のお母さんはお母さんだから」と答えた。