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2人で近くのファミレスに入り、ドリンクを注文した。


さっきも真奈ちゃんとファミレスに入って飲み物を飲んだばかりだから、デジャビュを感じる。


「あの人は恋人?」


僕は目の前に運ばれて来たコーヒーに手を付けずに質問をした。


いつも甘いものばかりだけれどコーヒーにしたのは、自分はもう大人だからなんでも話して欲しいと言う意思表示だった。


「ええ……」


母親は視線を上げずに頷く。


その瞬間胸がチクリと痛む。


分かり切った質問をしたはずなのに、肯定されると胸の疼きを感じてしまう。


「そっか」


「直樹もお父さんも、もうとっくに気が付いていたのよね?」


僕は返事をする代わりにコーヒーをブラックで飲んで見せた。