「自分の体のことですから」


僕は患者さんがよく言う言葉を口にしてみた。


嘘だった。


自分の体のことをよく知っていれば、こんな取り返しのつかない事態にはなっていない。


「もって一か月でしょう?」


医師は僕の言葉に固まってしまった。


返事ができずに視線を彷徨わせている。


それだけで十分だった。


僕はもう1度余命宣告を受けている。


だから2度も医師を困らせるつもりはなかった。


「両親には僕からちゃんと説明します」


救急車で運ばれた事はもう家に連絡が言っているはずだ。


母親がここに到着する前に、行かなきゃならない。