保健室なんかじゃ詳しい話を聞く事ができないからと。


そしてここまでやってきた。


部屋の中は薄いピンク色で統一されていて、いかにも女の子らしい雰囲気だ。


ベッドの上には沢山のクッションが置かれていて、フカフカで心地よさそう。


そしてなにより、良い香りがする。


「もしかして、異性の部屋に入ったのが初めてとか?」


ずばり的中されて僕はしどろもどろになってロクな返事ができなかった。


これでは肯定しているようなものだ。


「あなた、意外とモテないんだね」


「う、うるさいなっ!」


高校に入学してからは彼女のひとりでもできるかもしれないとワクワクしていた。


だけど今のところその気配どころか、女友達ができる気配すら少しも感じられない。


正直、恋愛に関しては奥手どころか幼稚園児波の知識しか持ち合わせていない。


「そういう心残りはないの?」


「そういうっていうのは……?」