「あいつっ。こんなかわいい人に何してくれてるんだよ。」
 香澄川くんは真面目なのに“あいつ”なんて言うんだなと思った瞬間。

 ガラガラッ
 香澄川くんが項垂れているとき、突然ドアが開いた。
 現れたのは少し茶色っぽい髪の毛の毛先を遊ばせている、楓、だった。
 「涼音ちゃんっ!僕たちの過去なんで言っちゃってるの。誰にも言わないって約束だったじゃん!」