「いつから幼馴染なのか、有馬くんのどこが好きなのか、マンションは隣なのか、とか、その他諸々。」
 わあ、いっぱい聞いてくるな。私のプライドずたぼろじゃん。“その他諸々”っていうのも答えないと。
 「香澄川くん、長くなるけどちゃんと聞いてよ。香澄川くんが聞いてきたんだからね。」
 香澄川くんに忠告しておかないと。その他諸々とか言われたら全部言いたくなっちゃうんだから。
 「楓と私は2歳からの付き合い。最初に私がマンションに住んでたんだけど、私が2歳の誕生日のときに楓が隣に越してきたの。最初、楓を見たとき、ビクビクしてて絶対に関わることも、友達になることも嫌だったの。」
 香澄川くんは「聞きたくないけど、聞かなきゃ。」という顔をしながら私の話を聞いてくれている。たまに顔をしかめているけど。
 「私が10歳の誕生日の日に楓が非常用の壁を蹴ったの。小さな穴が空いて。そして、楓がそこを通って来たんだよ。大声、上げちゃった。そのときは目が飛び出るとはこのことかと思ったくらいびっくりした。で、楓はまたすぐに自分の家に戻って行った。次の日も楓はまた抜け道通ってきて、私の目の前に現れて、『ここは僕達だけの秘密の通り道。誰にも言っちゃだめだよ。』って言って私に口づけしたの。」
 あぁ、恥ずかしい過去言っちゃったよ。私の隣では香澄川くんが項垂れている。