〈楓side〉
 涼音ちゃんとキスを交わし20分後。涼音ちゃんはこの世から旅立った。文化祭の準備を手伝わせたからだ。手伝わせたから余命が短くなったんだ。やっぱり僕の所為(せい)。好きな女の子もまともに守れないなんて、僕はまだ未熟で馬鹿だ。死ななきゃな。涼音ちゃんが亡くなったんだから。ああ、でも死にたくない。そうだ、僕は将来、医者になろう。涼音ちゃんのように心臓病であっさり亡くなってしまう人を減らすために。涼音ちゃんもその方がいいはずだ。僕が罪滅ぼしのために自殺したなんて聞いたら悲しむだろう。呆れるだろう。涼音ちゃんのひまわりのような笑顔を守るためにも。