気付いたら、文化祭の準備の時間がきていた。勇気を出して言わねば。
 「ねえ?私も参加していい?」
 こわごわと聞いてみた。
 「いいよ!ぜひぜひ!人が足りなくて困ってたんだ。涼音ちゃんが来てくれて助かったよ!」
 よかった。こんな私を受け入れてくれた。それだけのことに感動した。
 文化祭の準備はやってみると意外に楽しい。写真を入れる額を作ったり、かわいい背景を作ったり。こういうのは昔からの夢だった。クラスメイトとたわいもない話をすることが。小学生のとき読んだ本で、高校生っていいなと憧れた。今、その憧れが叶っている。好きな漫画の話や、気になる人の話。今日まで、決まった人としか喋っていなかったからいい経験になった。友達と喋りながらの作業はあっという間。楽しかったな。全部、楓のお陰だ。楓が私に勇気くれたんだ。後で楓にお礼を言っておこう、そう思ったときだった。また、私は息苦しさに襲われた。今回は胸の痛みも激しい。前回までは、なんとか立っていられるほどだったけれど、今日は立っていられない。私は座り込んだ。息がだんだんと苦しくなる。皆が私の名前を呼んでくれている。けれど、だんだんその声も聞こえなくなってくる。強い眠気に襲われて、意識を手放した。寝たままになるかもしれないことを覚悟して。