で、本題に戻る。
 私は、香澄川くんとお付き合いする気はさらさらない。ましてや結婚なんて。
 「どこの少女マンガの世界だよ。」と突っ込みたくなる。
 香澄川くんの告白を断らなきゃ。
 傷つけないように振る方法は?
 「ごめんなさない!香澄川くんの気持ちには応えられません!」
 とか?
 でもこれだときっぱり断りすぎ?
 うぅ、分からない。
 あっ!
 「香澄川くん、告白してくれてありがとう!生まれて初めての告白だったからとっても嬉しかったよ。でも私は香澄川くんの気持ちには応えられない。ごめんなさない。」
 これ、いいじゃん!いいじゃん!
 私は言う言葉を決めて、香澄川くんの目を見つめた。
 うわぁ、こうしてよく見て見ると香澄川くんの目って澄んでるな。目の中に星とハートのエフェクトがあるように見えるよ。
 そうこうしているうちに香澄川くんが「早く答えてよ。」と催促するように私を見てくる。早く言わなくちゃ。
「香澄川くんっ!」
 勢い良すぎたかな?生まれて初めての告白に生まれて初めての振ることに緊張しちゃって。あはっ?
 いや、“あはっ?”じゃないでしょ。私~
 「こっ、告白してくれてあっありがとう!」
 かみかみだ。でもいいんだ!香澄川くんに伝われば。
 「生まれて初めての告白だったからとっても嬉しかったよ。」
 よし、ここは1回もかまずに言えた。クリアだ。
 「でも、私は香澄川くんの気持ちには応えられない。」
 香澄川くんは心底がっかりした様子だった。でもすぐに立ち直ったようで、私の目を見つめ返してくれた。
「ごめんなさない!」
 言えた!
 すっきりしたぁ。
 告白を断っているときは冷や汗が止まらなかった。
 緊張を解いていると、唐突に香澄川くんが言ってきた。
 「神田(かんだ)さんの気持ちは分かった。神田さんのことは諦める。だってこんなに潔く振られちゃったんだもん。でも1つ聞いてもいい?」
 「いいよ!」
 香澄川くんが頑張って告白してくれた。それを無下にした私に質問を答えないという権利はないと思った。