お母さんはそう言って私を家から追い出した。今日は制服このままか、と憂鬱な気持ちになりながら学校へ向かった。お母さんは言ったことを絶対に曲げない。本当にお小遣いがなくなる可能性が無きにしも非ず(あらず)だから今日だけは、しょうがない。
 柚は驚いていたが何も答えなかった。私は俯いた。ここで理由を答えたらこうされたことが悲しくて涙が出て来そうだった。柚をそれを悟ったのか何も聞いてくることはなかった。
「でも、それレギンス穿かない(はかない)と日焼けするからね。気をつけな」
 日焼けか。そんなことこだわったことないな。日焼けしようが命に関わることはないし、だからといって日焼けしようとも思わない。つまるところ服は着ることができればいいのだ。けれど、露出するような服は好まない。早希は爽やかな色のオフショルダーのワンピースを着たり、純白の白のTシャツにデニムの台形スカートを合わせたりと色気重視の洋服を着ている。まだ夏になっていないのによくそんな洋服を着れるなと尊敬してしまう。早希が来ている服には賛成できないけれど。