話を戻して。
 早希は、900円もするシャンプーのお陰で髪の毛はさらさらでヘアアレンジがしやすいとここ最近ずっと自慢ばかり。お母さんも自分のお金で買っているならと文句を言わない。しかも、早希は香澄川くんと同じように中間テストや期末テストで全科目満点でお母さんはベタ褒め。そのお陰で、お母さんは早希がよっぽどのことをしない限り怒ったりはしない。私には怒りまくりだけれど。
 早希のヘアアレンジはとても凝っていて。みつあみハーフアップやくるりんぱ、たらしだんご。楽なポニーテールにシュシュを付けただけの私とは全く違う。
 小さいころからお母さんや親戚(しんせき)の人たちに言われてきた。
 「同じ血の通っている姉妹なのに、どうしてこんなにもちがうのかしら」
 お母さんは高校生活私を楽しんで欲しいらしく。早起きが苦手なお母さんが5時に起きて来たときは、動揺を隠せなかった。こんなに早く起きて何をするのかと思ったら、急に、制服をいじくり出してスカートを短く折ったり、ブラウスの第1ボタンまで外されたりしたのだ。
「ちょっ、何すんのさ」
 抵抗したが無駄だった。
「今日はそのまま行きなさい。帰ってくるとき、もと通りになってたらお小遣いなし!」