その話は置いといて。
 「楓になんてことを言うんだ」と思い、私はお弁当を残して放送室まで廊下を駆けて行った。
 「ちょ、涼音!あんたどこ行くの?」
 柚に聞かれたが答える暇がない。でも後ろから走るのが苦手な柚がドタドタと追いかけてくる。
 しょうがない。
 答えるしかない!
 「ほうそうしつっ!」
 もうやけくそだと思い、柚に早口で行き先を伝えた。
 「了解!」
 何が“了解”なんだか分からなかったが、伝わったならそれでいい。