どうやら会計は一緒に済ませていたみたいで、帰る準備を始めていた。

「澤井、急なお願い聞いてくれてありがとうな」

「お安い御用だ。また来てくれよ」

「ああ。 じゃあな」

「あ、ありがとうございました!」

 そういえば高根沢さんは、いつの間にか髪を切り終えていた。
 
「似合ってるじゃん」

「え?……あ、ありがとうございます」
 
 高根沢さんも髪を切ってスッキリした。よく似合っている。
 爽やかな感じで、好青年って感じがする。

「高根沢さんも、似合ってますよ」

「お、そう思ってくれるのか」

 と言いながら、タバコを吸いながら方手でハンドルを握る高根沢さん。

「……だって、似合ってますし」

「嬉しいもんだな、褒められるのって」

「……ですね」
 
 今回思い切り、髪を切って良かったよ。 なんだか心までスッと軽くなった気がするし、髪を切るってこんな感じなんだなって思った。

「なあ、美結」

「はい?」

「後さ、俺のことは高根沢さんじゃなくて、大和って呼んでいいから」

 え……!? そんな、いきなり呼び捨てには出来ないよ……!

「そ、そんなのはおこがましいです……」

「何言ってるんだ。これから一緒に住むんだから、名前で呼んでいい」
 
 って言われても、いきなり名前を呼び捨てにはするのは……気が引ける。

「いいから、名前で呼べ」

「……は、はい」
  
 そう言われたら断れない……。