大翔はどんどん桜の木に近づいている。

「大翔!」

 私は持っている全ての力を振り絞って叫んだ。こんなに叫んだ事は今まで一度もない。

 彼は振り向いて立ち止まってくれた。

「来ないでって言ったのに。桜の花見れなくなる!」

「行かないで! 離れ離れにならない方法ないの?」

 私はぐちゃぐちゃな顔になりながら言った。

「あるわよ!」

 後ろから声が聞こえた。