期末テストも乗り越え、いよいよ夏本番が始まろうとしていた
夏休みに向けて注意事項を話す担任と夏休みの話題で持ち切りで聞く耳を持たない生徒でザワつく教室
相変わらず日向は机に伏せていた
「夏休み、日向はなにすんの」
「部活ー。逆に聞くけど月はなにすんの」
「バイトー」
こんな気だるげな会話を日向とするぐらい仲は深まっていた
日向はいつの間にか私を下の名前で呼ぶようになったし何かあれば私の名前を出して、黄色い歓声の女の子達の面倒事を上手くかわす、カモフラージュにしていた
「高校生っていうのに私達、輝くもんないね」
「月ぐらいスタイルともに運動神経抜群、頭も良ければそこそこ美人ときて、さらに見せかけの性格は良いという素晴らしい条件が揃ってんのに、彼氏いねぇの?」と意地悪そうな顔をしてこちらを見てくる日向
「いやそのまま返すんだけど、言い分ある?」と冷ややかな言葉と表情で返せば、日向は楽しそうにケラケラ笑っている
「俺と月は違う…俺はまあ好きな人いるから…」
そんな日向の言葉は、担任の「話は終了だ!夏休みを楽しめ!」という掛け声とテンションが高くなった生徒による雄叫びでかき消された
「あ、ごめん。日向なんて?」
「なんもねぇーよ。じゃあ俺行くわ」と鞄をもって颯爽と居なくなる
そして居なくなったことにより私は一気に女子に囲まれた
「ねぇねぇ○○ちゃん。今清川くん話してたよね?」
「○○ちゃんって清川くんと付き合ってんの?」
「いやまさか!清川くん、彼女居ないって言ってたよ?」
日向がカモフラージュしてから、日向が消えた後の放課後は常にこれ。
私が適当にのらりくらりかわしてるから、真実を知りたい女子達は毎回詰め寄る
私はその場を楽しんでいた。これが主人公が通る道なんだと…
今日もまたのらりくらりとかわしていると、紬が怖い顔をして割って入ってくる
「今日は私と予定があるんでしょ!行こ、○○」と私の手を掴んでズンズン歩き出した
紬の手を掴む力は強くなる一方で、私はついさっきまでの状況を楽しんでいた訳で、この現状に少し面白くなかった
でも約束は本当である
「ごめんごめん。紬、行こうか!」と明るく返せば、紬は嬉しそうに顔を緩めた
目的の場所への移動中、少し紬が言いづらそうに聞いてきた
「○○って清川くんのこと、好き…なの?」
「え?」
「こないだ清川くん、彼女居ないって…だから付き合ってるとかではないかなーと…ごめんごめんいきなり」
私はぽかんとしてしまったけどドキッとした
好き…?私が?ただ主人公として日向と付き合う未来が欲しいから近づいただけ
「日向のこと好きとかじゃなくて、仲良いだけだよ」
そう慌てて誤魔化した…そんな慌てる必要なんてないのに…それに胸がチクリと痛んだ。前にもこの感覚味わったのだ
「そう…だよね!清川くんと仲良いもんね…あははは」
紬は作り笑いをした
「清川くん、好きな人いるって言ってたの!だからもしかして…○○かなーとか思っちゃってた」
紬はその作り笑いのまま、会話を続けた
またチクリと胸が痛んだ
そんな事なんで紬が知ってんの?
それになんで紬が気になってんの?
私はとある答えにたどり着いた
___あぁこれが“好き”ってことで…嫉妬してんのか
我ながら主人公さながら鈍感だなと苦笑した
夏休みに向けて注意事項を話す担任と夏休みの話題で持ち切りで聞く耳を持たない生徒でザワつく教室
相変わらず日向は机に伏せていた
「夏休み、日向はなにすんの」
「部活ー。逆に聞くけど月はなにすんの」
「バイトー」
こんな気だるげな会話を日向とするぐらい仲は深まっていた
日向はいつの間にか私を下の名前で呼ぶようになったし何かあれば私の名前を出して、黄色い歓声の女の子達の面倒事を上手くかわす、カモフラージュにしていた
「高校生っていうのに私達、輝くもんないね」
「月ぐらいスタイルともに運動神経抜群、頭も良ければそこそこ美人ときて、さらに見せかけの性格は良いという素晴らしい条件が揃ってんのに、彼氏いねぇの?」と意地悪そうな顔をしてこちらを見てくる日向
「いやそのまま返すんだけど、言い分ある?」と冷ややかな言葉と表情で返せば、日向は楽しそうにケラケラ笑っている
「俺と月は違う…俺はまあ好きな人いるから…」
そんな日向の言葉は、担任の「話は終了だ!夏休みを楽しめ!」という掛け声とテンションが高くなった生徒による雄叫びでかき消された
「あ、ごめん。日向なんて?」
「なんもねぇーよ。じゃあ俺行くわ」と鞄をもって颯爽と居なくなる
そして居なくなったことにより私は一気に女子に囲まれた
「ねぇねぇ○○ちゃん。今清川くん話してたよね?」
「○○ちゃんって清川くんと付き合ってんの?」
「いやまさか!清川くん、彼女居ないって言ってたよ?」
日向がカモフラージュしてから、日向が消えた後の放課後は常にこれ。
私が適当にのらりくらりかわしてるから、真実を知りたい女子達は毎回詰め寄る
私はその場を楽しんでいた。これが主人公が通る道なんだと…
今日もまたのらりくらりとかわしていると、紬が怖い顔をして割って入ってくる
「今日は私と予定があるんでしょ!行こ、○○」と私の手を掴んでズンズン歩き出した
紬の手を掴む力は強くなる一方で、私はついさっきまでの状況を楽しんでいた訳で、この現状に少し面白くなかった
でも約束は本当である
「ごめんごめん。紬、行こうか!」と明るく返せば、紬は嬉しそうに顔を緩めた
目的の場所への移動中、少し紬が言いづらそうに聞いてきた
「○○って清川くんのこと、好き…なの?」
「え?」
「こないだ清川くん、彼女居ないって…だから付き合ってるとかではないかなーと…ごめんごめんいきなり」
私はぽかんとしてしまったけどドキッとした
好き…?私が?ただ主人公として日向と付き合う未来が欲しいから近づいただけ
「日向のこと好きとかじゃなくて、仲良いだけだよ」
そう慌てて誤魔化した…そんな慌てる必要なんてないのに…それに胸がチクリと痛んだ。前にもこの感覚味わったのだ
「そう…だよね!清川くんと仲良いもんね…あははは」
紬は作り笑いをした
「清川くん、好きな人いるって言ってたの!だからもしかして…○○かなーとか思っちゃってた」
紬はその作り笑いのまま、会話を続けた
またチクリと胸が痛んだ
そんな事なんで紬が知ってんの?
それになんで紬が気になってんの?
私はとある答えにたどり着いた
___あぁこれが“好き”ってことで…嫉妬してんのか
我ながら主人公さながら鈍感だなと苦笑した