あれから2人は日が落ちるまで居てくれて
一生分笑った気がした

ココ最近は寝た気がしなかったがお陰様で今日はちゃんと眠れる気がする

そのまま私は夜、ゆっくり目を閉じた

______夢を見た

いつの日か見た新月の夜の日
私はひとりぼっちでいた

そんな姿を今の私は客観的に見る

1人でいる私は寂しそうで泣いているように見えた

そして周りに日向と紬がやってくる
私をなだめて背中をさすってくれた

そして両親がやってくる
紬達と一緒に抱き合ってなだめる

すると一緒に笑っていた

そして真ん中にいる私は安堵して

その場から消えた

今度は紬と日向、両親が泣いていた

背中をさすってなだめる人間も
一緒に抱きしめ合う人間も

誰一人いない

失うことはこういうことなんだと思わされた

ただただ先の見えない辛さに泣くしか出来なくて

思い出が募れば募るほどその辛さは大きく波のようにやってくる

居てもたってもられなくて

私は何も考えずに近づいた

触れようとすればスっと通り抜ける

見守ることしかできないってこと?

もどかしくて辛くて

やっぱり選んだこの道は間違っていたと思えた

1人でいるほうがきっとお互いのためだったのに

ワガママなんて言わなければ

そう後悔していた時だった

「そろそろ泣いてたら怒られるんじゃね?」

日向がそう無理しながらも笑って

それが伝染して広がっていく

今、これが見れてよかったと思う
ずっと引っかかっていた胸のつっかえが消える

これで安心できる
もう大丈夫だよね

全部全部もう何もかも十分だ
もう満足とさえ思う

けれど先が見えれば見えるほど

本当は_________

日向と…

紬と…

________ずっと一緒に笑っていられる日々がよかった

なんて叶わない願いさえ浮かんでしまう

何が私の頬を伝った
上を見上げると葉の雫が落ちてきているように見える

それが今は涙だって分かる
どうでもいいなんて思っていた自分のことを認められるようになった

「遠回りしたけど、やっとここまで来れたね」

そんな声が聞こえた

振り向くとあの黒猫

_______(つき)が座っている

ミャウと可愛く鳴いている

「君はずっと私のために居てくれたんだね。正しい道に連れてきてくれてありがとう」

そう声をかけると月は歩いていく

同時に辺りは空には満月が浮かんで紺色の雲によって消される

私は素直にその月の後ろを歩いてついて行く

私は幸せだった
こんなにも笑ってここまでこれたのだもの

仮面はもう壊してその場においてきた

それでいいと思えた。