今日の私は自力に座っていた
日向が部活オフで久しぶりに1人でやって来るのだ
やはり好きな人だもの
おめかししたいなんて思うのは乙女心からくるものだった
コンコンとノックされて日向はやってくる
日向はよお!と元気そうに入ってくる
「紬は大丈夫なの?」
どうやら紬は猫ちゃんの月が怪我して病院に行っているようだった
「電話越しで少し泣きべそかきながら大丈夫って言ってたぞ」
ククっと笑いながら日向は言った
「そっか、なら良かったんだけど」
日向は私の横にある椅子に座りながらこちらを見てくる
「今日は元気そうだな」
少し嬉しそうに見える
「そう?日向が来るから力がみなぎってんのかも」
私は冗談交じりに笑った
「じゃあ毎日来るからさ、春までさ…」
「散るよ」
私は食い気味で言った
日向はびっくりしたように目を見開いている
「私は早く咲きすぎたの。だから先に散る」
私はそうハッキリと言った
「ハハっ…わりぃ、そうだよな。何、夢物語を話してんだ俺」
日向は作り笑いをして私の頭を撫でた
「でも嬉しかった。当たり前に私がそこにいることがさ」
私もまた仮面をつけて笑った
「当たり前だろ。月は幸せにならなくちゃなんねぇよ。誰よりも人生が短いんだ、その分、今幸せにな」
日向は優しく言ってくれる
「日向、もしかして俺がしてやんねぇーと…とか思ってる?」
撫でていた手がピタリと止まった
「だと思った。紬の間、取り持つ時も私のために自分が悪役になってさ…」
「俺は演じるのは上手いから…そのへんは気にしてない」
そう返してくれたのはやはり日向は私のためを思ってくれたから
「もう私ばっかりして…紬のこと泣かしてどうするの」
私がため息をつくと日向はへへへと笑う
「決めた、2つ目のお願い」
私は深呼吸して真っ直ぐ日向を見た
「紬を幸せにしてあげること」
「え、それでいいの?当たり前にするつもりだったんだけど」
日向はきょとんとして言った
「いいの。だから叶えてね」
私は笑った
当たり前だという言葉を日向から聞けて安心した
紬と別れるつもりがないということ
紬との未来をしっかり考えていること
それだけが分かれば十分もう叶えられたに等しいと思えた
「分かった、肝に銘じておくよ」
日向はサラりと応えた
「私はもう幸せだからさ…もう解放されて」
私は振り絞るような声で言った
「それは3つ目のお願い?」
日向は目を伏せて静かに聞いてくる
「違う、違うけど…」
日向は自由だから
という言葉がでてこなかった
日向に幸せにしてもらえるなんてこれ以上嬉しいことは無い
それに幸せにしたいと思ってくれた相手が私も含まれていたことに欲が出てしまった
好きな人を独り占めをしたい
でも、紬に…
紬に幸せになってもらいたい
それに私の命がもう長くないから…ただそれだけの理由なのだから
「私は日向にそう思ってくれただけでいいの、十分」
「だからお願いにはいれられないけど、普通の友達でいよう」
私は仮面を被って嘘をついた
これでいい
私は決めたのだから
輝かせてあげるって。
嘘だって必要なことだから
「ん、そうだな。普通の友達だもんな」
日向はそう言ってくれた
私は散り始めている
もう残りの花はどれだけあるのかな
まだもう少し。
葉桜になるのは待ってくれないかな
普通の友達だって嘘をつかなくてすむまでは。
日向が部活オフで久しぶりに1人でやって来るのだ
やはり好きな人だもの
おめかししたいなんて思うのは乙女心からくるものだった
コンコンとノックされて日向はやってくる
日向はよお!と元気そうに入ってくる
「紬は大丈夫なの?」
どうやら紬は猫ちゃんの月が怪我して病院に行っているようだった
「電話越しで少し泣きべそかきながら大丈夫って言ってたぞ」
ククっと笑いながら日向は言った
「そっか、なら良かったんだけど」
日向は私の横にある椅子に座りながらこちらを見てくる
「今日は元気そうだな」
少し嬉しそうに見える
「そう?日向が来るから力がみなぎってんのかも」
私は冗談交じりに笑った
「じゃあ毎日来るからさ、春までさ…」
「散るよ」
私は食い気味で言った
日向はびっくりしたように目を見開いている
「私は早く咲きすぎたの。だから先に散る」
私はそうハッキリと言った
「ハハっ…わりぃ、そうだよな。何、夢物語を話してんだ俺」
日向は作り笑いをして私の頭を撫でた
「でも嬉しかった。当たり前に私がそこにいることがさ」
私もまた仮面をつけて笑った
「当たり前だろ。月は幸せにならなくちゃなんねぇよ。誰よりも人生が短いんだ、その分、今幸せにな」
日向は優しく言ってくれる
「日向、もしかして俺がしてやんねぇーと…とか思ってる?」
撫でていた手がピタリと止まった
「だと思った。紬の間、取り持つ時も私のために自分が悪役になってさ…」
「俺は演じるのは上手いから…そのへんは気にしてない」
そう返してくれたのはやはり日向は私のためを思ってくれたから
「もう私ばっかりして…紬のこと泣かしてどうするの」
私がため息をつくと日向はへへへと笑う
「決めた、2つ目のお願い」
私は深呼吸して真っ直ぐ日向を見た
「紬を幸せにしてあげること」
「え、それでいいの?当たり前にするつもりだったんだけど」
日向はきょとんとして言った
「いいの。だから叶えてね」
私は笑った
当たり前だという言葉を日向から聞けて安心した
紬と別れるつもりがないということ
紬との未来をしっかり考えていること
それだけが分かれば十分もう叶えられたに等しいと思えた
「分かった、肝に銘じておくよ」
日向はサラりと応えた
「私はもう幸せだからさ…もう解放されて」
私は振り絞るような声で言った
「それは3つ目のお願い?」
日向は目を伏せて静かに聞いてくる
「違う、違うけど…」
日向は自由だから
という言葉がでてこなかった
日向に幸せにしてもらえるなんてこれ以上嬉しいことは無い
それに幸せにしたいと思ってくれた相手が私も含まれていたことに欲が出てしまった
好きな人を独り占めをしたい
でも、紬に…
紬に幸せになってもらいたい
それに私の命がもう長くないから…ただそれだけの理由なのだから
「私は日向にそう思ってくれただけでいいの、十分」
「だからお願いにはいれられないけど、普通の友達でいよう」
私は仮面を被って嘘をついた
これでいい
私は決めたのだから
輝かせてあげるって。
嘘だって必要なことだから
「ん、そうだな。普通の友達だもんな」
日向はそう言ってくれた
私は散り始めている
もう残りの花はどれだけあるのかな
まだもう少し。
葉桜になるのは待ってくれないかな
普通の友達だって嘘をつかなくてすむまでは。