テストを無事に終え、清川日向は部活を再開していた。ずっとあの日の放課後を引きずっていたが、あちら側は話す気がさらさらなかった
そんな私達の関係は相変わらずであったが1日1回は言葉を交わしていた

そんなある日だった
「ねぇ清川くんって怖い?」と紬は心配そうに言葉を漏らしていた

紬と清川日向は同じ委員会に入っていた
月に1回ある委員会の集まりの時に清川日向の部活は大事な練習がよく被るらしく、それを理由に代理を立てていたが、どうやらoffのため一緒になるようだった

「大丈夫でしょ、あの笑顔のパーフェクトヒューマンよ?紬に変なことはしないでしょ」

少し胸がチクリと痛んだ
その痛みを私はしらない

清川日向はズンズンとこちらにきて「紺月さん、委員会行こうか」とお得意のスマイルのまま紬を迎えにきた

「あ、うん」と紬は言われるがままについていく

紬を待つため、教室でスマホを開いた
部活に行く生徒と帰り支度をする生徒や、帰宅のためダッシュする生徒が行き交う中、私はスマホの友人からのメッセージをのんびりとよんでいる

そんな中1つのメッセージがくる
親からだ…一人娘の私を縛りに縛り付ける親
その縛り付け方が異常で最初こそ嫌気がさすが、私にとってこれが当たり前であり、もはやもう感情もなにもわいてこない
ただ頭の中でヒステリックに私の名前を呼ぶ声が聞こえる

あの日の清川日向が浮かんだ
「自分以外どうでもいいか…自分さえもどうでもいいんだけど本当は」と1人呟いた

だから私は主人公になりたい
存在の意味を見つけるためになんて言ったら格好がつくだろうか

紬を待って30分がたった頃、バタバタと走る音が聞こえた

「○○!ごめんね…これから清川くんと少しクラスの決め事しなきゃならないから先帰って」と慌てて帰ってきた紬は申し訳なさそうに謝っていた

私は適当に返事をし、鞄をもって廊下にでた
どうやら教室で決め事をするらしく、紬とは教室で別れを交わした

「あれ?帰んの?」
廊下に響き渡ったのは清川日向の声

「私はお邪魔でしょ?清川くんと紬の仕事を横取りするつもりもない」と冷めた声で返すと

「あれー俺の事は下の名前で呼んでくんないの?」とニヤニヤした顔でこちらをみている

「はいはい日向、これでいいでしょ?」

すると満足そうに「ん、それでいい。じゃあな」と楽しそうに手を振ってくる

思わせぶりという言葉がこれほど似合う男はいない。私じゃなきゃすぐ惚れるし泣く女は多いだろうなと思わされる

____家に帰るとヒステリックに私の名を呼ぶ母
ここまでは脳内再生バッチリ
すると奥からは怪訝そうに顔を歪めている父が出てきた

これは予想外
私に平手打ちをしてくる父

内容は帰宅が遅い

家の時計は18時を知らせる機械的なチャイムが鳴っていた

遅くなると連絡いれたのにこれだ
コラボカフェにいった日は勉強という連絡も入れ、父が居なかったからいいものの、今日は運が悪かった

母のヒステリックな声は無視すればどうとでもなる。父はこう暴力でくるからどうにもできない

涙もでない、アタリマエだから。
笑顔を浮かべてごめんなさい、次からは気をつけるからとこう言うだけ

いい子を演じれば許してくれる
そうすれば両親は私に日常を与えてくれる