あれからメッセージはこなくなった

後悔はしてない
私の今を知らなくていいの

それに今日は曇り空で気分もよくないし、ココ最近は体調の悪い日が続いてあまり眠れていない

おまけに治療との相性は最悪で、ベットから動けないでいた

私に出来ることはただ目を閉じることだけ

それでも辛くて眠れない

すると頭の上に少し冷たくて大きなものが乗る
撫でられてるのか

心地よくて辛いものを吸い取ってくれる

いつの日かの日向の手のひらを思い出した

あの時の猫は元気だろうか
ずっと会えてないな

そんなことを考えながら私は気づけば眠った

どれぐらい寝たのか
きっとそんな時間は経ってないのかもしれない

けど私には何時間も久しぶりに眠れた気がした

「ん…」

目を開けるとそこにはいつも怒った顔をしていた父が優しくて笑っていた

「もう起きたのか」

「どのくらい寝てた?」

「30分くらいかな」

腕時計を見る父親を見て笑いかけた

「何時間も寝た気分だよ、その手のおかげで」

「あぁこれ…年頃の娘に悪いな」

焦ってバッと手を取る父親

「ううん、そのままにしててよ。寝れる気がするよ」

「そうか…なら」

父親は少し照れくさそうにもう一度頭におく
やはり手は少し冷たい

そのまま2人とも黙り込んで沈黙が続く

「お父さんのこの手、好きだった人に似てる」

私の頬を叩いた父親の手と日向の手が重なって思わず口にしてしまう

「○○にもそんな人いたのか」

父親は驚いた表情を見せた

「いたよ、でも私じゃない人を選んだ。でも正解だよ、私はいなくなっちゃうもん」

私は笑った

「…小さかった○○はよく苦しんで痛がってた。だから頭を昔からこう撫でるといつも気持ちよさそうな顔して寝る○○を見てこのまま苦痛が無くなればって思ってた」

父親は私の頭をゆっくり撫でた

「でも成長していく○○も見たくて…学校行かせた。その判断は間違ってなかったんだな」

父親は昔のような穏やかな顔をする

「自分の代わりに月の苦痛をとってくれる人間がいたんだ」

私は目を見開いた

「他の人を選ぶとかそんな以前の話、そんな人に出会ってほしかった。そして少しくらい普通の生活して楽しんでほしかった、厳しくしすぎたがな」

父親はハハハと笑った

「お父さんのばかあ。失恋してるんだよ、しっかり慰めてよ」

私もつられて笑った

「納得してんだろう、顔を見れば分かるよ」

優しく父親は言う

「そうだね、私の方が可愛くてスタイルがよくて頭がいい!…でもね、いつも真っ直ぐで一生懸命で…とても綺麗だよ」

私は伏せた目で静かにそう言った

「…その言い方は完敗だな」

そう言い、優しく撫でてくれた

そうだねと返して目をまた閉じた

「眠れる時に寝なさい。ここにいるから」

そう言って撫で続けてくれた

懐かしくてしょうがなくて…
この日は安心して眠れた