あの後、両親が出ていった

死んでもいいなんて言った私とより1層関わり方、分からなくなっただろうな

大丈夫、私は最後まで笑うから
どんな関わり方だって受け入れるよ

余命宣告にここまであっさりと受け入れる人間なんてそういないだろうね

死ぬことが怖くないの
私には何も失うものはないもの

そんな私自身を客観視したまま、年はあけていく

人生最後の初日の出

病院の窓から眺める

いつだって太陽は主役

みんな日が出るのを今か今かと待ちわびているの

いつの間にか私はそんな太陽と日向を重ねた
ずっと前から重ねていたのかもしれない

彼の光を貰って私はいつだって錯覚するぐらい輝けた

人に囲まれた

日向、私は日向の言う通り他人なんてどうでもいいよ

けど、主人公になりたい私は人に囲まれることで満足できていたの

だって主人公はいつだって誰にでも愛されるでしょ?

だから私はそれで良かった
勝手にモブだと、私のために必要だと見下していた他人からの呼ばれる名前なんて聞こえなかった

心から笑えたかなんてそんなの無理に決まっている

日向は他人が良くしてくれるから演じるっていったよね

私は違う

“みんなから愛されるために演じてたの”

同種でもよかったから君のそばに居たかった

日向は良い人だから

私とは違う

日向は気づいていたでしょう
だから紬を選んだ

紬は本当に愛される人だもの

仮面をかぶった私には到底敵わない

だから仮面をかぶった道化らしく、モブらしく、2人が笑う世界を作るの

それがみんな、望んでいること

だってそうじゃない

どれだけ邪魔をしたって
どれだけ間に入ろうとしたって
どれだけ想っていたって

結局運命は紬の方へ向く

モブがどれだけあがいたって作品を荒らすだけ

だったら潔く退場する

それが台本通りお話でしょう

だれもが傷ついた世界なんていらない

そうだ私

________最初からずっと客観視していた

このお話の第三者として語っているだけだった

私の気持ちはあの時にあったのだろうか

今はこうして記されてる

ただ2人を見つめて

周りの空気を読んだ

でも確かにあったのかもしれない
想うことに一生懸命になった日々は私にとって非現実的で

“宝物”なんだから

私は最初から自分さえどうでもいいって思っていたから

きっと主人公になれないんだろうな