冬休み、街中はクリスマスムード

私だってありきたりにクリスマスを楽しみたい

しかし私の体調は良くなるどころか熱まででてくる

身体が重たい
もうなんだかあちこちが痛いようなそんな気もしてくる

そんな思いを一人、祖母の家で体験する

私はあれから、 バレたくないため気分転換と理由をつけて母方の田舎の祖母の家に冬休みの間は泊まることにした

両親は共働きだからついてくることはない

そして両親は空気が綺麗な田舎で身体を休めることが出来るならと賛成して送り出してくれた

祖母は早くに祖父を亡くし、一人のんびりとこの山奥に住んでいる

優しく暖かい祖母が大好きだった

しかしやはり年には勝てないのか物忘れをする事が増え、持病を抱えて生活しているせいで私にはあまり干渉しないのが最近の祖母

しかし暖かく出迎えてくれるところは変わっていない

私はそのまま田舎の診療所で風邪の症状を伝え、薬をもらって過ごしていた

「んーっ」

薬を飲んで少し身体が楽になり、縁側で伸びをしていた

やはり田舎の空気は美味しい

今頃、日向と紬はデートしているのだろうか
キスまでしてたり…

私が短くため息をつくとカタッと音が鳴る

振り向くと暖かいお茶を持ってきてくれた祖母の姿

「○○ちゃん、身体は平気かい?」

そしてブランケットを肩にかけてくれた

「うん、迷惑かけてごめんね」

私はお茶をゆっくり啜る

変わらない味にホッとする

「具合が良くなくて逃げるためにここへきたんでしょ」

祖母は目を伏せて静かに聞いてくる

「どうして…それを?」

「物忘れが酷くなったって大好きな○○ちゃんのことだもの分かるわよ」

私は上手く隠せていたと思っていた

現に父と母は知らない

「お願い、黙っててほしいの」

私は湯のみを握りしめた

「そうね、このまま元気でいてくれるなら黙っておくよ」

優しい笑顔で祖母はそう言ってくれる

「ありがとう。私ね、やっと“普通”に生きられるの、手離したくない」

「ずっと“しんどい思い”したものね、偉いよ○○ちゃんは」

そう暖かい手で頭を撫でてくれた

こんな暖かい手はいつぶりだろうか
こんなに心地いい温度に安心したのはいつぶりだろうか

「○○ちゃんの母親と父親はね…」

そう祖母は話してくれるのだが、その手の温もりが私を落ち着かせてくれ、話し終わった時には眠りに落ちてしまった

こんなにも幸せに眠れたのは日向と仲良くなった日以来かもしれない

あの頃は楽しかった…な

目が覚めた頃はもうすっかり日が落ちていて、布団の中で携帯を確認する

祖母が運んでくれただろう

心は軽くなった気がする一方で身体は重くなった気がする

リビングに顔を出すと「夜ご飯だよ」と祖母ほ笑顔で言ってくれる

私は元気なフリして食卓につく

これが間違えだった

これで素直に言えたなら未来は変わっていたかもしれない

そもそも早くに言えていたら、今もきっと______

その日の夜ご飯を朧気にしか覚えていない

確かお肉を食べた時だったと思う

急な吐き気に襲われてトイレに走った