目が覚めると白い天井
嗅いだことのある部屋の匂い
外から部活動の声が聞こえるほど静かな空気
「目、覚めたか?」
この声を聞いた事がある
窓側を向くと優しい光に照らされた日向が椅子に座っていた
「日向…私…」
ようやく頭がはっきりしてきてここは保健室だと理解ができる
「紬が月がぶっ倒れてるからって泣きそうな顔しながら俺んとこにきたんだ」
日向は窓の外を見つめてそう伝える
「紬は?」
「月に避けられてるから帰るって。目が覚めたら連絡してって言われた」
日向がどことなく素っ気なく感じる
冬の太陽の光は夏に比べて優しい
暖かさを悲しいぐらいに実感できない
冷たい風にふかれると陽の光さえ冷たくなる
「そっか。ありがとう」
そんな太陽の光と日向を重ねた
「ありがとうは紬に言えよ」
こちらを一切見ようとしない
「そうだよね」
気まづい沈黙が流れる
「紬のあんな顔、見たくないんだ」
そうポツリと日向が話し出した
「確かに紬の色んな顔はみたい。けど俺にはあんな泣きそうな顔、見せたことない」
私は驚いてしまう
紬にとって私の存在ってなんだろう
そう思えてしまった
「そんな顔させるぐらいの存在なんだよ。なんでさけんだよ」
日向は私の疑問が聞こえているかのように言葉を選択する
少し苛立ちを隠せない声色だった
「紬、いつも悲しそうに今日もだめだった~とか頑張るねって困ったかのように作り笑いすんだよ」
日向は外を見つめている
「俺はあの日、紬を傷つけてた月を許せねぇよ。でも紬は気にしてないって笑ってた、それに…」
日向は座っていた椅子の上で膝を折りたたんで小さく体育座りをしだした
少し拗ねたように見える
「無理して笑ってるように見えたって心配してた。そう言われたら俺は何も言えねぇだろ」
日向は私をじっと見つめた
「紬は俺より月しか見えてねぇの。軽く嫉妬だつーの」
少し笑った日向を見て、私も少しつられて笑った
日向の冷たさが軽減された気がした
「避けたつもりはないの。ただ紬ともう…一緒の場所には立てない」
私は布団を握りしめた
「紬には真っ直ぐ人と向き合ってる。でも私は自分のために…」
これ以上、言葉がでない
出したらなぜだか胸が苦しくなってくる
「何言ってんの。紬と月は…」
「日向には分からないでしょ」
日向の優しい言葉を遮った
「…もうほっといてよ。紬を傷つけた事実は変わらないの、それはずっと背負ってく。だからもういいの」
私の笑顔の仮面を選んだ
日向はそんな私を真剣な顔で見ていた
「月はそれでいいのか?」
「…帰って、日向」
布団を握りしめる力ばかりが強くなっていった
日向は「そっか。無理すんなよ」と一言残してこの場から去った
やはりどことなく冷たい光を身体に浴びた
嗅いだことのある部屋の匂い
外から部活動の声が聞こえるほど静かな空気
「目、覚めたか?」
この声を聞いた事がある
窓側を向くと優しい光に照らされた日向が椅子に座っていた
「日向…私…」
ようやく頭がはっきりしてきてここは保健室だと理解ができる
「紬が月がぶっ倒れてるからって泣きそうな顔しながら俺んとこにきたんだ」
日向は窓の外を見つめてそう伝える
「紬は?」
「月に避けられてるから帰るって。目が覚めたら連絡してって言われた」
日向がどことなく素っ気なく感じる
冬の太陽の光は夏に比べて優しい
暖かさを悲しいぐらいに実感できない
冷たい風にふかれると陽の光さえ冷たくなる
「そっか。ありがとう」
そんな太陽の光と日向を重ねた
「ありがとうは紬に言えよ」
こちらを一切見ようとしない
「そうだよね」
気まづい沈黙が流れる
「紬のあんな顔、見たくないんだ」
そうポツリと日向が話し出した
「確かに紬の色んな顔はみたい。けど俺にはあんな泣きそうな顔、見せたことない」
私は驚いてしまう
紬にとって私の存在ってなんだろう
そう思えてしまった
「そんな顔させるぐらいの存在なんだよ。なんでさけんだよ」
日向は私の疑問が聞こえているかのように言葉を選択する
少し苛立ちを隠せない声色だった
「紬、いつも悲しそうに今日もだめだった~とか頑張るねって困ったかのように作り笑いすんだよ」
日向は外を見つめている
「俺はあの日、紬を傷つけてた月を許せねぇよ。でも紬は気にしてないって笑ってた、それに…」
日向は座っていた椅子の上で膝を折りたたんで小さく体育座りをしだした
少し拗ねたように見える
「無理して笑ってるように見えたって心配してた。そう言われたら俺は何も言えねぇだろ」
日向は私をじっと見つめた
「紬は俺より月しか見えてねぇの。軽く嫉妬だつーの」
少し笑った日向を見て、私も少しつられて笑った
日向の冷たさが軽減された気がした
「避けたつもりはないの。ただ紬ともう…一緒の場所には立てない」
私は布団を握りしめた
「紬には真っ直ぐ人と向き合ってる。でも私は自分のために…」
これ以上、言葉がでない
出したらなぜだか胸が苦しくなってくる
「何言ってんの。紬と月は…」
「日向には分からないでしょ」
日向の優しい言葉を遮った
「…もうほっといてよ。紬を傷つけた事実は変わらないの、それはずっと背負ってく。だからもういいの」
私の笑顔の仮面を選んだ
日向はそんな私を真剣な顔で見ていた
「月はそれでいいのか?」
「…帰って、日向」
布団を握りしめる力ばかりが強くなっていった
日向は「そっか。無理すんなよ」と一言残してこの場から去った
やはりどことなく冷たい光を身体に浴びた