あの日あのまま体調を理由にさぼった
そのことでさぼることに抵抗が消えた私は逃げるようにさぼっていく

でも半分、本当に体調は崩していた

めまいもならない
なんなら吐き気だってする日もある

そんなことを家族に言ってしまえば、さぼるどころか休んで病院に行かされる。

学校にも行けない

別に学校に何かあるわけでもない

ただ紬と日向が笑っていることを確認したいのだ
彼女達からは私が紬にしたように聞こえるような悪口が届けられた

私が1人になることで日常が戻っている

それでよかったんだ

私が離れたことで傷つかなくてすむんだ

「ねぇ○○」

だれも私に話しかけないで
そんな言葉がでかかった

その思いをグッとこらえて振り返るとそこには紬がいる

明日は終業式のため、クラスはいよいよ冬休み本番で浮き足立っていたそんな放課後のこと

私は委員会の仕事を終わらせて教室に戻る最中だった

「…」

「どうしてあれから避けるの?」

「…」

「どうして私から離れていくの」

「…」

「どうして“約束”を守ってくれないの」

「…」

「ひと…」

「もうやめてよ」

紬の言葉にかぶせるように私はそう叫んだ

「もう聞きたくないの。誰の言葉も。約束なんて忘れた」

紬の顔を見れなくて下を向く

「紬のそういうところ嫌いなの…」

「…」

紬は何も言わない

恐る恐る顔を上げると紬は一筋、涙を流していた

「もうほっといて」

そう言い捨てて、背を向け走った

約束を忘れたなんて嘘
あんなに“嬉しかった日”のことを忘れるわけない

でも私は自分のためにそんな日の思い出を見ないふりして閉じ込めてしまったのだ

そんな私では紬は釣り合わない

紬は他の人から光を貰わなくても輝いてる
私なんて光を貰っても眩しく感じてしまうのに

傷つけないって決めたのに、また自分のために逃げた

今日だけは許して。
悪女の仮面を付けさせて。

じゃないと私は…私は…

暗闇の雲がかかって本当に消えてしまいそうだ