目が覚めるとひんやりとした感触を身体全体に感じていた

辺りは静けさに包まれていた

あの人気のない廊下だ

あのまま私は倒れたんだ
そして放置されたと。

「これでもし私が…」

これ以上はやめておこう

ここは人通りが少なすぎて誰も私に気づかなかったんだ

あの子たちは最初からこう私を避け物にするためにここを通ったのだろうか

何か夢を見た気がする
朧気に満月は思い出すことは出来るがどうも頭痛がする

なにか大切な夢な気がするが今はどうでもいい

いよいよ1人になってしまった

“1人なんてなりたくない”

ずっと強がっていた私はもっとも恐れることだった

どうしても紬にはこんな姿を見せたくないという私の意地っ張り

バカみたいでしょう

頭痛がしていてもひんやりした廊下が吸い取っていく

いつかの日向が指の痛みをとってくれたかのように。

そのいつかが遠く昔に感じる

「ハハッ…」

私の乾いた笑い声が響いた

本当に何もかも壊れてしまったんだ

_____いや私が壊したんだ

紬を傷つけて、

日向を傷つけて、

彼女達を傷つけて、

私は多くを望んだ

その代償が誰もいなくなった

もう1回言う

バカみたいでしょう

そんな人間が主人公だって?

笑わせる

自分で自分の存在価値を下げて
自分で自分の仮面を分厚くして
自分で自分の…

_____本当の私は誰?

いつからいい子になろうとしたんだろう

誰かの顔色を伺って
誰かの機嫌の変化に敏感になって
誰かの言動が気になって

本当の私を探そうとして手を伸ばして何かを掴んだとしても堕ちてゆく

もがけばもがく程、何かに溺れていく

底なし沼のように私は足を取られる

「もう疲れたよ…」

どうすれば…楽になれるだろうか

誰かのことを気にしないですむような
いい子にならずとも自由に生きられるような

そんな“居場所”

どこにあるのだろう。

「あぁ…」

あるじゃないか

私の変な維持を捨てればいいんだ

恐れなんて必要ない

人と関わりを捨てて

“1人になれば”

誰かなんて存在しない

私だけの居場所になる

簡単じゃないか

何を迷っているの

私はみんなを傷つけた

その傷つけた罪を償うためにも
もう傷つけないように

私がみんなの前(この物語)から消えれば

私の理想とするみんな(物語)になるではないか