あれから日向と紬はしっかり話し合って、仲直りしたみたいだった

また甘い雰囲気が漂う教室
反吐が出そうだった

いつもなら怖い顔をしている私を見かねて夏祭りメンバーは機嫌をとるのだが、今日は少し距離を感じた

私にとってどうでもいいと思えた

そんな日々を過ごす中、ありきたりな学校行事は行われる
浮かれているのは学校全体でそれは日向と紬も例外ではない

それもどうでもよかった

私の大切な学校行事はもうそろそろ見え始めてきてるのだから
そう思いながら家の卓上カレンダーや携帯のカレンダーを見てにやけていた

どうやって次は教えよう、どこが分かりにくいかなと思いながら机に向かってノートをまとめていた

分かりやすく丁寧に。苦ではない、それは好きな人とのことだからであり、そのへんの学校行事より楽しい

頬杖をつきながら、色々考えていた時だった
机の向こう側の窓に黒猫が1匹

ゆっくり横切っていく

その容姿はこないだ私を引っ掻いた猫にそっくりだ

夜に黒猫が横切るなんて縁起悪すぎる

でも私にとってはノートやテスト勉強のこと以外どうでもいいと過ごしているおかげで気にもとめない

_____これは私の全てを崩壊する合図だったのかもしれない

そう思えたのは次の日、日向とばったり会った朝のことだった

朝練終わりで、紬と一緒ではなかった

そんな日向が少し珍しくて私はついテンション上がり気味で声をかけた

「おはよ、朝練終わり?」

「おはよ、それ以外他はねぇよ」

日向は笑顔をみせた

「そうだ、月。今回のテストは紬と勉強するつもりだから、自分に専念しろよ」

そう言いながら靴を履き替える日向

「い、いきなり何言ってんの?」

私のテンションが一気に急降下

「嫉妬の話はどうしたの?もういいわけ?」

かなり私の声は焦っていたと思う

「それ、言わなきゃと思ってたんだけど…紬の悲しい顔を見たらやめなきゃって思ってさ」

と日向は少し伏せた目をした

「それに何を急に焦ってんだよ、いつか終わる話が今になっただけだろ?」

日向はこちらを向き直し、私の頭をポンとした

「2人に何があったのか知らないけど、そう思うなら良かったじゃん。また仲良くいられるね」

私はぎこちなく笑った

きっと貼り付けた笑顔をしている
日向は気づくだろう

本当は気づいてほしくない
だって…精一杯の私の優しさの詰まった言葉なの

「なに変な顔してんだよ、無理して笑うなよ」

日向は心配そうにこちらを見ている



私の優しさなんて今更いるの?
自分の警鐘さえ耳を塞いだのに?

日向が私を振り回すなら私だってそうする
そうすれば少しは私を意識して見てくれる

私がそうなるように。

「…じゃあ、最後のワガママきいてよ」

私の目はもう日向の輝きを借りなければ、光はないだろう