歪んだ世界
世の中は便利だと思う。
電車に乗るときのカード。
SNSの普及はめざましいものがある。
学校へのいつもの通学路。
今日から高校2年生になった私、英椿は晴れ晴れとした気持ちではなく下を向いて歩いていた。
私は、今日も自信をなくして下を向いて歩くしかないのだ。
誰かの役に立ちたくて、誰かに笑って欲しくて、嫌われたくなくて私は今日も自分を偽る。
自分は笑顔で楽しく真面目な人間なのだと演じるのだ。
ふと、歩道橋を歩いていて思い出した昔の記憶。
「本の世界って楽しいのかな?」
昔、友達と話していたことがある。
現実から目を背けたい時、嫌なことから逃げたい時、私は決まって図書室に逃げ込んだ。
両親の不仲に悩み、友達との格差に悩み、夢に諦めをつけて、恋愛に悩んだ。
そんな時、私を救ってくれたのは両親でも、先生でも、友達でもない。
本だった。
本は、物語の中に入り込めるような気がしてひたすら本に没頭して読み続けた。
本は唯一、私を救う夢の世界なのだと昔は錯覚した。高校2年生になっても私は図書室に通う。なぜなら現実から目を背けられる唯一の方法だから。
いつもの始業式とは違い、今日はクラス発表。友達も1人か2人。でもすごく仲がいいわけでもないのでクラスなんてものはどうでもよかった。
偽るために愛想良く、うまく立ち回ればそれで安定した学園生活を送れるのだ。嫌われないように今日からまた気を使う日々がはじまる。
私は3組になった。
周りの女子が歓声を上げている。
入学式当初はさすがの私も驚いた。
女子からの歓声を浴びる男子にではなく、女子の歓声に。
アニメとか漫画じゃないんだぞ!ってツッコみたかったがやめた。
名前は女子がどこに行っても話していたから耳にタコができるくらい。
司聖の名前を聞いた。
司が名前かと思ったが聖が名前らしい。
難しい読み方だと思ったけどわたしも英と書いてはなぶさと呼ぶのだから負けないとなんだか思ったことは覚えている。
まさかの女子人気ナンバーワンと同じクラスとは・・・。
いや、でも目立つクラスになるなんて嫌だ。
何よりもクラスの席で隣だったことも何より嫌だった。
でも無理やり話しかけてこない性格なようで私も必要最低限の会話で済んだ。
あっという間に終わり、私は放課後急いで図書室は向かった。
この学校の図書室を管理する先生もゆるく、生徒も緩いためまず人は来ない。
そう。
人はいないはずなのに…どさどさださ。
「痛っ!」
図書室の中から男子の声が聞こえた。
なんで・・・。
今までいなかったじゃん。
なんで今日に限っているの。
ゆっくり中に入ると本に埋まった人は本をどかして起き上がる。
その時、本の中から出てきた彼は私とバッチリ目があった。
黄昏時の図書室に舞う埃は光に照らされ、キラキラ輝いている。
何かが始まる予感がした。
世の中は便利だと思う。
電車に乗るときのカード。
SNSの普及はめざましいものがある。
学校へのいつもの通学路。
今日から高校2年生になった私、英椿は晴れ晴れとした気持ちではなく下を向いて歩いていた。
私は、今日も自信をなくして下を向いて歩くしかないのだ。
誰かの役に立ちたくて、誰かに笑って欲しくて、嫌われたくなくて私は今日も自分を偽る。
自分は笑顔で楽しく真面目な人間なのだと演じるのだ。
ふと、歩道橋を歩いていて思い出した昔の記憶。
「本の世界って楽しいのかな?」
昔、友達と話していたことがある。
現実から目を背けたい時、嫌なことから逃げたい時、私は決まって図書室に逃げ込んだ。
両親の不仲に悩み、友達との格差に悩み、夢に諦めをつけて、恋愛に悩んだ。
そんな時、私を救ってくれたのは両親でも、先生でも、友達でもない。
本だった。
本は、物語の中に入り込めるような気がしてひたすら本に没頭して読み続けた。
本は唯一、私を救う夢の世界なのだと昔は錯覚した。高校2年生になっても私は図書室に通う。なぜなら現実から目を背けられる唯一の方法だから。
いつもの始業式とは違い、今日はクラス発表。友達も1人か2人。でもすごく仲がいいわけでもないのでクラスなんてものはどうでもよかった。
偽るために愛想良く、うまく立ち回ればそれで安定した学園生活を送れるのだ。嫌われないように今日からまた気を使う日々がはじまる。
私は3組になった。
周りの女子が歓声を上げている。
入学式当初はさすがの私も驚いた。
女子からの歓声を浴びる男子にではなく、女子の歓声に。
アニメとか漫画じゃないんだぞ!ってツッコみたかったがやめた。
名前は女子がどこに行っても話していたから耳にタコができるくらい。
司聖の名前を聞いた。
司が名前かと思ったが聖が名前らしい。
難しい読み方だと思ったけどわたしも英と書いてはなぶさと呼ぶのだから負けないとなんだか思ったことは覚えている。
まさかの女子人気ナンバーワンと同じクラスとは・・・。
いや、でも目立つクラスになるなんて嫌だ。
何よりもクラスの席で隣だったことも何より嫌だった。
でも無理やり話しかけてこない性格なようで私も必要最低限の会話で済んだ。
あっという間に終わり、私は放課後急いで図書室は向かった。
この学校の図書室を管理する先生もゆるく、生徒も緩いためまず人は来ない。
そう。
人はいないはずなのに…どさどさださ。
「痛っ!」
図書室の中から男子の声が聞こえた。
なんで・・・。
今までいなかったじゃん。
なんで今日に限っているの。
ゆっくり中に入ると本に埋まった人は本をどかして起き上がる。
その時、本の中から出てきた彼は私とバッチリ目があった。
黄昏時の図書室に舞う埃は光に照らされ、キラキラ輝いている。
何かが始まる予感がした。
