その時3巻に視線を向けていた少年が「ん?」と首をかしげた。


そして3巻にグッと顔を近づけてなにかを確認すると、指先でなにかをつまみ上げるような仕草をした。


それは間違いなく「は」だった。


誤字の「は」だ。


「これ、ただの誤字じゃなくて本の虫なのか」


少年がそう呟くと「は」をゴミ箱へと投げ捨てた。


「は」の姿はすぐに見えなくなり、代わりに黒い虫がゴミ箱の中から飛び立ったのだった。



END