私のいる2巻を開き、横に3巻を開いて交互に読み始める。


信行も3巻の中で動かずにジッと我慢しているはずだ。


あと少し、あと少し我慢すればいいだけだ。


そう思っていた矢先だった。


体が揺れた。


いや、本全体が揺れたのだ。


少年もまた揺れていた。


本棚から本が落下する音が聞こえてきて地震がきたのだと理解した。


印字されていない私は必死に隣の活字にしがみついて揺れに耐えた。


少しでも油断すれば手が離れてしまいそうだ。


大きな揺れだったが、それはほんの10秒ほどで収まった。


少年も無事のようで大きなため息が聞こえてきた。


部屋の向こうから少年の母親らしき声が聞こえてきて、少年が部屋を出ていく。


「信行、大丈夫?」


「あぁ。ひどい揺れだったな」


「本当だね」