その姿から少年が作家志望なのだとわかり始めた。


2巻での伏線が3巻で回収されていたり、キャラクターの成長の仕方を確認したりしているらしく、ときどき「なるほど」とか「すごいなぁ」と言った声を漏らす。


そこまで熱心に本を読む少年を見ることができて私は嬉しかった。


私が書いた本ではないけれど、好きな本を好きと言ってくれる人がいることに喜びを感じる。


そして返却期限が明日に迫ってきた。


ようやく元の場所へ戻れることは安堵し、少年と離れてしまうことが少しさみしくも感じた。


きっと少年の部屋の本棚には沢山の本が並んでいることだろう。


それらを見てみたかったとも思った。


明日が返却日ということで少年はその夜もう1度私のいるを読み直した。